臨床について About Clinical
― 総合診療科は「わからない」を診る科です ―
MUS 医学的に説明困難な症状 Medically Unexplained Symptoms
医療の現場では、検査や画像では異常が見つからないのに、症状が続くことがあります。たとえば、倦怠感、頭痛、しびれ、息苦しさ、腹部の違和感など——こうした状態は、MUS(Medically Unexplained Symptoms:医学的に説明のつかない症状)と呼ばれます。MUSは、「原因がない」という意味ではありません。現代医学でも、まだ十分に理解されていない要因が関わっていることが多く、身体の変化、生活のリズム、心理的な負担、社会的な環境など、さまざまな要素が影響し合っています。
FUO 不明熱 Fever of Unknown Origin
― ありふれた辛い症状、にもかかわらず原因が?? ―
発熱の原因は多様で、風邪やインフルエンザなど短期間で治るものから、特殊な疾患まで幅があります。FUO(Fever of Unknown Origin:不明熱)は、このような発熱のうち、
1)38.3℃以上の発熱が、
2)3週間以上持続し、
3)3日間の入院検査あるいは3回の外来診療でも原因不明の発熱
と定義されています。近年は検査技術の進歩で感染症や悪性腫瘍の割合が減り、非感染性炎症疾患や診断未確定例が増加しています。また、「高体温」が原因で不明熱とされてきた例もあり、生活リズム、肉体的・心理的な負担、社会環境など、さまざまな要素が影響していることも珍しくありません。
取り組み Initiative
MUSカンファレンス
当センターでは、MUSの症例を学内外の内科医、精神科医、心療内科医とともに検討する「MUSカンファレンス」を定期的に開催しています。このカンファレンスでは、検査や画像の情報に加え、患者さんの語りや生活の状況なども含めて議論し、より深い理解と適切な支援のあり方を考えます。華やかさよりも、臨床現場に根ざした学びと対話を大切にする場として継続しており、若手医師や学生にとっても多面的な視点を育む貴重な機会となっています。
FUOカンファレンス
当センターでは、FUOにあてはまる症例を学内外の感染症医、リウマチ・膠原病内科医を含む各領域の医師とともに検討する「FUOカンファレンス」を定期的に開催しています。
このカンファレンスでは、詳細な病歴の情報、身体診察所見、検査や画像の情報に基づいた重篤病態の評価に加え、患者さんにとっての発熱の受け止め方、社会生活への影響なども含めて議論し、より深い病態の理解と適切な対応を考えます。
感染症など緊急性のある病態、重篤な病状に至り得る疾患を適切に除外もしくは診断し、患者さんの不安・苦痛を取り除くことのできる総合診療医を育む重要な学びの機会となっています。
患者さまへのメッセージ Message
MUSでお悩みの患者さまへ
原因が明確でない症状に悩むと、不安や孤独を感じることがあります。けれども、「原因がはっきりしない=何もできない」ではありません。身体的な検査だけでなく、心理的・社会的な影響についてもしっかり考えることで、改善の糸口が見えてくることがあります。必要に応じて様々な専門科とも連携しながら、困った症状への対処法を一緒に考えていきます。
FUOでお悩みの患者さまへ
発熱は様々な原因で起こります。原因がわかりにくく不明熱(FUO)とされるものの原因は、自己免疫疾患や、隠れた感染症や腫瘍、お薬の副作用、体温調整の異常など様々です。「熱が続くけれども、診断がつかないからどの診療科を頼れば良いかわからない」という方は総合診療科を受診してください。必要に応じて様々な専門科とも連携しながら、熱の原因追及、そして必要な治療へ繋げます。
わたしたちの目指すこと View
「わかろうとする」医療を大切にしています
MUSは、現代医療における“未踏の領域”のひとつです。だからこそ、私たちは「わからない」を放置せず、「わかろうとする」医療を大切にしています。金沢大学総合診療共創センターは、からだ・こころ・社会をつなぐ視点から、患者さんとともに、新しい医療のかたちを築いていきます。