私たちとともに、それぞれの得意を活かしながら、
患者さんの求める医療に全人的に応えていき、
未来の総合診療・地域医療について深く考え、学び、成長できることを願っています。

令和7年10月1日付けで、金沢大学附属病院 総合診療共創センターに着任いたしました。
本センターは従来の当院総合診療部から発展的に新設されたセンターであり、病院診療科の一つである「総合診療科」としての役割と、地域と連携し、地域医療をフィールドとした人材育成、社会活動および研究に取り組む「NOTOラボ(NOTO: The Nexus for Overcoming Territorial Omissions)」としての機能を果たすことを目的に、新たなスタッフを加え新設されました。

総合診療科としては、地域の医療機関や院内の診療部門において診断が困難な患者さんへの対応や、心理・社会的課題を抱える患者さんへの対応を含めて附属病院での診療を行い、また臨床実習における地域医療実習や北陸総合診療コンソーシアムの枠組みを通じて医学生、臨床研修医、専攻医への総合診療教育を行っていきます。総合診療科の診療は、「ひとを診る」ことを出発点としています。診断のつかない症状、複数の併存疾患、生活や社会的背景が複雑に絡むケースなど、単一のガイドラインでは答えの出ない課題に対して多職種の協働により丁寧に向き合うことで、全人的・包括的な医療を目指しています。

NOTOラボにおいては、地域医療機関との教育連携を深め、地域アセスメント演習を通じた専門職連携教育(Interprofessional Education: IPE)や地域医療に役立つPoint of Care超音波(POCUS)教育、また金沢大学地域枠学生の課外研修マネジメントの円滑化などを推進していきます。また、地域医療機関との診療連携やWebカンファレンスを通じて、総合診療を志す医師や地域枠学生・卒業生(研修医、専攻医)の診療支援を行っていきます。さらに、当院研修医・専門医総合教育センター地域医療支援部門と連携し、地域枠学生・卒業生への継続的なキャリア支援を行い、スペシャリティ(専門性)の深化や大学院学位取得などについても支援していきたいと考えています。これらの活動を通じて未解決の各地域の医療課題に気づかされることも多くあるものと思われ、そのような医療課題に基づく臨床研究・基礎研究を推進していくことも当センターの重要な使命だと考えています。

私たちは、“生粋の”総合診療専門医だけでなく、様々な専門分野から総合診療マインドを持つ医師が集まり、それぞれのスキルと経験を共有することで、個性豊かなスペシャリティを有する総合診療医を育成することを目指しています。総合診療とスペシャリティとが共存・協働する医師の育成により、専門的な医療ニーズに応えつつも専門と専門との間に生まれる“谷間”のない医療を実現することへ貢献できるのではないかと考えています。私たちは、ジェネラルの土台に、各人のスペシャリティを重ねていく教育を目指していきます。

センター長 水島 伊知郎